大手企業への営業では、機能や価格だけでなく「この会社を信頼して取引できるか」が検討の前提になります。本セミナーでは、セキュリティ・運用・管理体制・説明責任の未整備を「信用負債」と捉え、エンタープライズ攻略に必要な信頼設計とSOC 2の活用を解説します。
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オンライン
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テーマ・対象者
SOC 2
エンタープライズ営業
Trust / 見せるセキュリティ
経営者
事業責任者
営業

SaaS企業が機能改善や営業施策に力を入れていても、大手企業では比較検討に入る前の段階で候補から外れることがあります。担当者は「情報を預けて大丈夫か」「情シス・法務・購買へ説明できるか」「数年後も使い続けられるか」といった、機能以外の信用も見ています。
本セミナーでは、こうしたセキュリティ・運用体制・証跡・説明責任・管理体制の未整備を「信用負債」と定義し、商談前の検討対象入りから、商談後の情シス・法務・セキュリティ審査まで、どのように事業成長の障壁になるのかを整理します。
そのうえで、SOC 2を単なる監査対応ではなく、管理体制を第三者監査によって客観的に説明し、大手企業との取引を前に進めるための「信頼の証」として活用する考え方を紹介します。
登壇者
青野 稚子
SecureNavi株式会社
Fit&Gap担当部長
NTTDATAグループ企業にて、IT機器等の運用保守・維持管理業務に従事し、エンタープライズ企業特有の契約管理や運用体制について実務を通じて理解。その後、EY新日本有限責任監査法人にて、SOC 2やISMAP等の情報セキュリティに関する監査業務に従事。また、グローバル企業向けのISMS認証審査業務やISMS認証取得のためのコンサルティングも経験。現在はSecureNaviにてFit&Gapのプロダクトを通して、監査の効率化や高度化のためのコンサルティング業務を行う。
セミナーの要点
大手企業では、機能比較に入る前に「信頼できる取引先か」が見られる
セキュリティ・運用・管理体制・説明責任の未整備は「信用負債」となり、商談前後の障壁になる
SOC 2は、管理体制を第三者監査によって説明するためのレポートとして活用できる
SOC 2は営業・マーケティングにおける信頼資産になり得る
セミナー全文文字起こし
00:00|大手企業では「失注」より前に負けている
青野 稚子
はじめまして。SecureNavi の青野と申します。
本日は、エンタープライズ企業に選ばれるために必要な信用についてお話をします。
SaaS や AI サービスを提供している企業の多くは、大手企業に導入されたい、エンタープライズ攻略を進めたいと考えていらっしゃるかと思います。そのために機能を磨く、価格を工夫する、導入事例を作る、営業資料を整える、展示会に出る、リードを獲得する。もちろん、こうしたことはすべて重要なことです。
ただ、今日お伝えしたいのは、機能や価格で比較をされる前に、そもそも比較の土俵に上がれていない会社があるということです。
問い合わせが来ない、商談化しない、比較検討に入らない、担当者が社内で紹介をしづらい。
これは単なる認知不足や営業力不足ではなく、大手企業から見て、この会社は検討してよい相手なのかどうかという信用が足りてない可能性があります。
本日はこの状態を「SaaS の信用負債」というふうに呼んで、お話をさせていただきます。
その前に、簡単に自己紹介をさせていただきます。
私はまず NTT データグループで IT 機器の保守運用などをして、その後、監査法人に勤めておりました。ここで SOC 2 といったセキュリティの監査業務に従事をしておりました。
今は SecureNavi という会社で、Fit & Gap というプロダクトを通じて、監査の効率化などに携わっております。
SecureNavi という会社は、シリーズ B で 12 億円を調達したセキュリティのスタートアップです。
さて、本題に入りますが、まず営業においては、どうしても失注理由に目が行きがちです。
価格で負けた、競合に負けた、機能が足りなかった、タイミングが合わなかった。
ただ、大手企業向けではもっと手前で起きている問題があります。それは、失注にすらなっていないという問題です。
まず問い合わせが来ないですとか、展示会で名刺交換をしても、その後商談化につながらない、資料請求はされるが比較検討に入らない、担当者が興味を持ってくれても社内で紹介をしてくれない。
営業管理上は失注として出てこないかもしれません。でも、事業上ではすでに負けている状態です。大手企業の比較の土俵に上がる前に、もう落ちてしまっているんです。
今日まず持ち帰っていただきたいのはこの部分です。大手企業に売れない理由は、商談の後半ではなく、商談の前にあるかもしれないということをご理解いただけると嬉しいです。
03:02|大手企業の担当者が感じる「信用」の不安
青野 稚子
大手企業の担当者は、便利そうだからという理由だけで新しい SaaS を社内には持ち込もうとしません。なぜなら、持ち込む側にもリスクがあるからです。
この会社に情報を預けていいのか。上司にしっかり説明ができるか。法務や購買を通せるサービスか。数年後も使い続けられるサービスか。問題が起きた時に説明ができるかどうか。
自分がこの会社を推薦して大丈夫かどうか。
SaaS 企業側は自社サービスの良さを伝えようとします。機能がいいですとか、UI がいい、導入が早い、費用対効果が高い。もちろん、こういったことは大事なことです。
ただ、大手企業の担当者は、それとは別に、この会社を社内に持ち込んだ時に自分が困らないサービスかどうかといったところを見ています。
つまり、大手企業に振り向いてもらうためには、機能の魅力だけでは足りないということです。まず、この会社なら検討してよいと思ってもらう必要があります。
そして SaaS 企業では、大手企業に売るために多くの努力をしていらっしゃるかと思います。
機能の改善や導入事例作り、営業資料の整備、LP や訴求文の改善、展示会の出展であったり、リード獲得施策。すべて大事なことかと思います。
ただ、ここにずれがあります。
売り手側は、どうすればこのサービスの魅力が伝わるかといった観点で考えていますが、一方で大手企業は、この会社を選んで大丈夫なのかどうかといった観点で見ています。
つまり、売り手側が磨いている軸と、買い手側が不安に思っている軸が違っています。
プロダクトの魅力は伝わっている。でも信用が伝わっていない。この状態ですと、興味を持たれても検討に進むことができません。
大手企業側の担当者がいいと思っていても、社内に持ち帰ることができません。エンタープライズの攻略では、プロダクトの訴求だけではなく、信用の訴求といった観点も必要になります。
05:25|SaaSに蓄積する「信用負債」とは
青野 稚子
スタートアップや SaaS 企業においては、「技術的負債」という言葉をよく使うかと思います。
これは早く開発を進めるために、将来の保守性や拡張性を一部犠牲にすることです。短期の成長を優先するためには、後で直す前提で作る。こうしたことは成長フェーズにおいてはよくあることかと思います。
ただ、エンタープライズ攻略にはもう一つの負債があります。それが「信用負債」と呼ばれるものです。
機能開発や売り上げ成長を優先する中で、セキュリティや管理体制、説明責任の整備が後回しになってしまう。
その結果、大手企業から見ると、「良さそうなサービスだけど、まだ任せづらい会社だな」とか、「便利そうだけど、社内に説明しづらい会社だな」というふうに見えてしまいます。
これが信用負債と呼ばれるものです。
ポイントは、信用負債はサービスの価値が低いという意味ではないことです。むしろプロダクトはいい、顧客にも刺さっている、市場性もある。でも、大手企業が安心して選ぶための材料が足りてないという状態です。
そのため、比較に入らないですとか、担当者が社内で押し切れない。こうしたことがエンタープライズ攻略における信用負債と呼ばれるものです。
そして、この信用負債が厄介なのは、商談の後半だけで効いてくるものではないということです。
商談前においても、そもそも振り向かれないですとか、比較に入らない、社内で紹介されない、検討対象にならない。
そして商談後においては、情シス確認が止まる、法務や購買で止まる、セキュリティの審査で止まる、稟議で説明ができない。
つまり、信用負債というのはパネル全体に効いてきます。
上流では、検討されない問題として現れます。下流では、商談が進まない問題として現れます。
営業の現場では、これが別々の問題に見えているかもしれません。商談化率が低いですとか、受注率が低い、セキュリティの審査で時間がかかる、失注理由が曖昧。
しかし、根本理由は同じかもしれません。「信用を説明できていない」。ここの部分を疑う必要があります。
08:07|エンタープライズ企業が必要とする「信用の材料」
青野 稚子
大手企業においては、目の前の担当者が前向きであっても、それだけでは契約に至らないケースというのは多いと思います。
利用部門は便利かどうかを見ています。そして、情報システム部門は安全に運用できるサービスかどうかというのを見ています。セキュリティ部門はリスクがないかどうかというのを確認しています。
法務部門は契約上の問題がないかを見ています。購買は取引先として妥当な会社かどうか確認をしています。
リスク管理、内部監査部門は、全社として共有できるサービスかどうかを見ています。そして経営層は、そのリスクを取る理由があるかどうかというのを見ています。
つまり、大手企業に売るということは、目の前の担当者だけを説得することではありません。
その担当者が社内の関係者をしっかりと説得できる状態を作ることです。
ここで必要になってくるのが信用の材料です。
機能説明はある。導入事例もある。価格表もある。でも、このサービスの管理体制、運用体制を説明できる材料がないという状態では、担当者が社内で戦うことができません。
大手企業に選ばれるには、顧客担当者が社内で説明できる信用を、売り手側が用意してあげる必要があります。
そして、大手企業側が見ている信用というのは一つだけではありません。
一つ目は、セキュリティの信用です。これは最も基本的な判断軸で、重要な情報を預けて良いかといった観点が必要になります。
二つ目は、運用の信用です。仮に障害が発生した時ですとか、問い合わせが来た時、サービスの大きな変更があった際に、安定して対応できる会社なのかどうかといった点も見ています。
三つ目は、経営管理の信用です。ルールを作って、それに基づいて運用し、証跡を残し、改善し続けられる会社かどうかといった点も見ています。
そして四つ目は、継続性の信用です。大手企業は一度入れたサービスを短期間で簡単に変えることはできません。数年単位で取引できる相手なのかというところを見ています。
五つ目は、社内説明の信用です。顧客担当者が自社の情シス、法務、購買、経営層に説明できる材料があるかというところも見ています。
この五つが揃っていないと、大手企業はどうしても動きづらいです。
そして重要なのは、「信用はありますよ」と自分たちだけで言うだけでは足りないということです。信用というのは、説明できなければ存在しないのと同じです。
さらに言えば、大手企業の社内で通すには、客観的に説明できる材料というのが必要になってきます。
では、その信用をどうやって説明するのかということで、ここで次の話題に入っていきたいと思います。
11:38|信用を客観的に説明するSOC 2
青野 稚子
ここまで、大手企業に選ばれるには、機能や価格だけではなく、信用を説明できることが重要だというふうにお話をしてきました。
では、その信用をどうやって説明するのか。
「うちはちゃんとやってますよ」と自分たちだけで言うだけでは、大手企業の社内説明には当たりません。
情シス、法務、購買、セキュリティ、経営層などの複数の部門に対して、客観的に説明できる材料が必要になってきます。
そこで出てくる選択肢の一つが SOC 2 です。
SOC 2 という言葉を初めて聞く方もいらっしゃるかと思います。
細かいお話は今日は最小限にしまして、簡単にご説明しますと、SOC 2 というのは、クラウドサービス事業者がセキュリティなどに関する管理体制を整備して運用しているということを、第三者の監査を通じて説明するためのレポートです。
まず、自社でルールを整え、そのルールに基づき実際に運用する。そして、それを外部の監査人が確認をして、その結果出たレポートを顧客への説明材料として提示ができます。
ここに価値があります。
つまり、SOC 2 というのは単なる認証マークではありません。
大手企業に対して、この会社は検討してよい、この会社なら重要なデータを預けられる、この会社なら社内で説明ができると思ってもらうための信用証明です。
13:09|SOC 2を営業・マーケティングの資産にする
青野 稚子
SOC 2 は営業やマーケティングにとっても資産になります。
まず、認知や興味の段階では信頼の証になります。まだ詳しくお話をする前に、一定の管理体制がある会社ですというふうに伝えることができます。
そして、検討段階では比較候補に入るための材料になります。大手企業が複数のサービスを見比べたときに、信用を説明できる会社というのはとても強いです。
そして、商談の段階では初回の不安を下げることができます。この会社にデータを預けて大丈夫かといった疑問に対して、説明材料を持てます。
そして、審査の段階では前に進める材料になります。毎回ゼロからサービスのセキュリティ体制などを説明するのではなく、第三者の監査を通じたレポートとして示すことができます。
そして稟議の段階では、社内の説明材料になります。顧客担当者が自社の関係部門に説明しやすくなります。
つまり、SOC 2 というのは守りの対応だけではありません。
大手企業に振り向いてもらう。そして比較候補に入る。不安を下げる。審査を前に進める。社内の説得を助ける。
こうしたことは、営業やマーケティングの武器になり得ます。エンタープライズで売る会社が、自社の信用を市場で証明するための営業戦略になり得るということです。
15:09|自社の「信用負債」を確認する
青野 稚子
ただし、今日のお話は「今すぐ全社で SOC 2 を取りましょう」というお話ではありません。
まずやるべきこととしては、自社に信用負債というのがあるのか確認いただくことかと思います。
大手企業からの問い合わせが少ない。展示会やウェビナーで接点はあるが商談化しない。大手企業の比較検討に入りづらい。担当者が社内に紹介しやすい信頼材料がない。商談は進んだのに法務、情シス、セキュリティの審査で止まってしまう。SOC 2 Type 2 の準備には時間がかかることを社内で認識できていない。
もしこの中で三つ以上当てはまる場合は、SOC 2 を取るかどうか以前に、まず信用負債を整理していく価値があるかと思います。
重要なのは、SOC 2 取得ありきで考えないことです。
自社のエンタープライズ攻略において、どの部分で信用が足りていないのか。また、それが商談化率に効いているのか、受注率に効いているのか、審査に効いているのか。そこを確認していただくことが第一歩になります。
本日このお話を聞いていただいている方が営業やマーケティングの方であれば、ぜひ社内でこの論点を持ち帰っていただければと思います。
マーケティング観点では、大手企業が検討して良いと思える信用材料があるのかどうか。
営業観点では、大手の商談での信用不足が商談化率や受注率に影響していないか。
セキュリティやプロダクト観点では、顧客に説明できる管理体制や運用体制が整っているか。
経営観点では、大手企業との取引拡大に向けて SOC 2 が競争力になり得るか。
この四つです。
営業だけでも進みませんし、セキュリティだけでも進みません。もちろんプロダクトだけでも進みませんし、エンタープライズ攻略の信用戦略として、複数部門をまたいで考えていく必要があるかと思います。
17:13|SOC 2をエンタープライズ攻略の「信用戦略」にする
青野 稚子
これまで SOC 2 というのは、かなり重い取り組みというふうに知られていました。
費用が高いですとか、社内の負荷が大きい。そして何より、何から始めていいかというのが分かりづらい。一部の企業だけが検討するものというふうに思われる印象がありました。
ただ、今は状況が少しずつ変わってきています。支援サービスが増えていたり、ノウハウも整っていたり、SaaS 企業でもかなり検討しやすくなってきています。
日本ではまだ SOC 2 を営業やマーケティング資産として使い切れている企業は多くありません。競合がまだ取り切れていない信用というのを先に取りに行ける可能性があります。
今から早めに準備することで、これからのエンタープライズ商談にも備えやすくなりますので、今がチャンスだというふうに言えます。
最後に二つだけお願いがあります。
一つ目は、アンケートにご回答いただければと思います。今日の内容が皆様のエンタープライズ攻略や営業、マーケティング活動にとって、どの部分が参考になったか、ぜひ教えていただければと思います。
二つ目は、Web 展示会の SecureNavi の展示ブースにお越しいただければと思います。SOC 2 に関する資料もご用意をしております。
今日お伝えしたかったことはシンプルで、大手企業に売るためには、機能や価格、導入事例だけでは足りません。
重要なデータを預け、長く取引できる会社だと説明できることが必要になります。
SOC 2 は単なるセキュリティ対応、セキュリティの認証ではありません。エンタープライズで売るために、会社の信用を武器に変える戦略です。
ぜひ自社の中で信用負債がないか、まず確認してみていただければと思います。
以上になります。ありがとうございました。
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